富士通のデジタコは業務用運行記録計と後付け型テレマティクスの2系統が存在するが、現場で多いのは車載ハードのみ富士通製・連携アプリは他社というOEM構成だ。

主要データ

  • 運輸業(配送ドライバー)の有効求人倍率:2.72倍(厚生労働省 令和8年3月)
  • 全国平均軽油価格:158.8円/L(2026年6月、1週連続上昇)
  • 全産業平均有効求人倍率:1.17倍(厚生労働省 令和8年3月)

「富士通 デジタコ」で探す現場が最初に詰まるポイント

富士通のデジタコを導入しようと社名検索をかけると、最初に行き当たるのがカタログと製品名の不一致であり、現場の運行管理者が「富士通 デジタコ」で検索して開いた製品ページには、富士通テン時代の型番や、富士通フロンテック・富士通クラウドテクノロジーズの製品が混在するため、初期段階で製品の素性を見極めにくい。社名変更とグループ再編が繰り返されたため、同一企業が複数のブランドで運行記録計を扱う構造になっている一方で、現場は急いで比較検討を進めたいことが多く、ブランド名だけで同系列の製品だと受け止めてしまいがちだ。結論からいえば、富士通ブランドで流通するデジタコの大半は他社のハードウェアをOEM供給されたものか、富士通グループの子会社・関連会社が開発・販売する製品であり、自社で使う製品を選ぶ際は、「富士通」という社名だけで判断せず、型番・後付け対応の可否・通信方式(3G/LTE/5G)・クラウド基盤の運営主体を確認する必要がある。

運輸業(配送ドライバー)の有効求人倍率は2.72倍(厚生労働省「一般職業紹介状況」令和8年3月分)と、全産業平均1.17倍の2.3倍に達しているため、ドライバー不足が深刻化する中では、運行記録と点呼記録のデジタル化が残業時間の適正管理と労働環境の透明化に直結し、デジタコ選定そのものが採用力に影響を及ぼす経営判断になっている。だが、導入後に「型番が廃版で部品調達できない」「クラウドの運営元が変わり管理画面が一新された」といったケースがトラック協会の巡回指導でたびたび報告される。富士通ブランドという信頼感に引き寄せられて契約した後、保守窓口が富士通本体ではなく代理店・販売店に移管されている事実を知り、対応速度に不満を抱える事業者も少なくない。国土交通省「自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた環境整備」(2024年)では、改善基準告示の改正に伴い、装着義務対象外の車両でも運行記録計の自主導入が進んでいると指摘されており、デジタコの選定は法令遵守のみならず、労働環境の可視化という経営課題にも直結していることが見て取れる。

富士通が関わるデジタコ製品の実態―3つの供給パターン

富士通の社名を冠するデジタコは、次の3つの供給パターンに分けて理解すると見通しが立つ。

① 富士通フロンテック製の業務用運行記録計

富士通フロンテック株式会社は、POSシステム・自動釣銭機・ATMなどの業務用端末を手がける富士通グループの中核企業であり、運行記録計(デジタコ)も自社で開発・製造しており、代表機種は「FTR-11」シリーズや後継の「FTR-12」シリーズだ。運行記録計は国土交通省告示に基づく型式指定制度があり、型式指定を受けた機種は法令に基づく記録要件を満たすとされているが、型式指定の有無・取得データの法的扱いは機種・用途で異なるため、導入前に所管省庁または専門家への確認を推奨する。車両への取り付けは整備認証工場で行い、速度パルスやタコグラフ信号を直接読み取る構造のため、後付けアプリとは精度・信頼性が異なる。

富士通フロンテック製デジタコは、物流会社向けOEM供給の実績も多く、同じハードウェアが別ブランド名で流通するケースがある。たとえば大手物流グループが自社専用仕様でカスタマイズし、系列の運送会社に一斉導入する際、富士通フロンテックが製造を受託するパターンであり、この場合は型番や外装ロゴが発注元のブランドになるため、カタログを見ただけでは富士通製と判別できない一方で、保守資料や配線図を確認すると出自が見えてくることもある。

② クラウドテレマティクス(富士通クラウドテクノロジーズ)

富士通クラウドテクノロジーズ株式会社(旧ニフティクラウド事業)は、クラウド基盤・データセンター・SaaSを提供するグループ企業で、運行データの収集・分析・可視化を行うテレマティクスサービスを展開するが、車載ハードウェア自体は富士通製ではなく、国内外の通信モジュールメーカーやGPS端末メーカーから調達し、クラウド基盤と管理画面のみ富士通クラウドテクノロジーズが提供する構成だ。

この形態は初期費用を抑えやすく、後付けセンサーやOBD(車載診断端末)接続で導入できるため、保有台数10〜30台の中小運送会社に導入例が多い一方で、通信方式が3G/LTEの場合は携帯キャリアの電波終了時期に合わせてハードウェアを交換する必要がある。3G回線は主要キャリアが2024年から2026年にかけて順次サービスを終了しており、LTE対応機への切り替えが済んでいない事業者は通信障害でデータ取得が途絶えるリスクがあるため、自社の通信方式と対応状況は販売店またはメーカー窓口で確認しておきたい。

③ OEM供給とパートナー販売

富士通の販売代理店・SIパートナー経由で販売されるデジタコには、矢崎エナジーシステム・トランストロン・データ・テック・住友電工システムソリューションなど、他社製のハードウェアが含まれる。富士通が提供するのは販売チャネルとシステム構築の支援であり、デジタコ本体の製造・保守は各メーカーが担当する構造だ。現場で「富士通のデジタコ」として納品された機器が、実際にはトランストロン製のDTG7シリーズだったという事例は珍しくない。

この場合、故障時の一次対応窓口は販売店になるが、修理部品の調達・ファームウェア更新は製造元メーカーが行うため、対応に時間がかかりやすく、特に型番が古い機種ではメーカー側で部品供給を終了している可能性があるため、故障即買い替えを迫られる運送会社もある。導入時には見えにくい差だが、実際の運用ではここが効いてくる。

富士通デジタコの導入前に確認すべき5項目

富士通ブランドのデジタコを選ぶ際、見積書と提案書だけでは判断できない要素があり、現場の運用と保守まで見据えるなら、導入時の価格だけでなく導入後の停止リスクや保守導線まで含めて、次の5項目を事前に詰めておく必要がある。価格が近い提案でも、止まったときの対応力はかなり違う。

① 製造元とサポート窓口の所在

販売店が「富士通のデジタコ」と称していても、実際の製造元が富士通フロンテックなのか、他社OEMなのか、後付けセンサーの供給元はどこかを契約前に明示させる。あわせて、サポート窓口が販売店のコールセンターなのか、メーカー直通なのか、故障時の代替機貸出があるのかも確認したい。保有台数が30台以上の運送会社では、1台でも稼働停止すると配車計画が崩れるため、代替機の在庫拠点と配送リードタイムは契約条件に含めるべきであり、この確認を曖昧にしたまま進めると、いざ故障したときに責任の所在がぼやけやすい。

② 通信方式と回線終了リスク

2026年時点で流通するデジタコの通信方式は、LTE(4G)と5Gが主流だ。ただし、在庫処分や中古市場では3G対応機が残っている。3G回線はNTTドコモが2026年3月、KDDI・ソフトバンクが2024年1月にサービスを終了しているため、3G専用機は既に通信不能であり、見積書に記載された型番をメーカーサイトで検索し、対応周波数帯と通信モジュールの型式を確認する必要がある。LTE対応と記載されていても、Cat.1/Cat.M1など通信速度が異なる規格があり、大容量の動画データ(ドライブレコーダー連携)を扱う場合は帯域不足で送信遅延が起きる。

③ クラウドの運営主体とデータ保存期間

富士通クラウドテクノロジーズが提供するテレマティクスサービスでは、運行データがクラウド上に保存される。国土交通省告示「貨物自動車運送事業輸送安全規則」では、運行記録計による記録は1年間の保存義務があるため、クラウド側の標準保存期間が1年未満の場合、自社でバックアップを取る運用が必要だ。無料プランでは保存期間が3ヶ月・6ヶ月に制限されるケースもあるため、契約前に保存期間とダウンロード可能な形式(CSV・PDF等)を確認する。ここを見落とすと、導入後しばらくしてから運用の手間が急に増える。

④ 他システムとの連携仕様

デジタコのデータを配車システム・勤怠管理システム・給与計算ソフトと連携させる場合、API(データ連携用の接続仕様)の公開有無とデータ形式が重要になる。富士通製デジタコでも、機種によってはCSV出力のみでAPI非対応の場合があり、自動連携ができず手動取り込みが必要になる。特に給与計算ソフト(弥生給与・freee人事労務など)と連携する際は、労働時間・拘束時間・休息期間のデータ項目が自社の給与規定と一致するか、事前にサンプルデータで検証する。見た目の管理画面が整っていても、連携で詰まる例は意外に多い。

⑤ 補助金・助成金の対象機種か

国土交通省・経済産業省・各都道府県トラック協会が実施する補助金・助成金では、対象機種が型式指定品または同等の性能を持つ機器に限定される場合がある。富士通フロンテック製の運行記録計は型式指定を受けているため補助対象になりやすいが、後付けテレマティクス端末は対象外のケースもある。申請前に、導入予定の機種が補助金の対象リストに含まれているかを所管窓口で確認する。補助金額・補助率・対象条件は制度・年度で変動するため、最新の公募要領を国土交通省または各都道府県トラック協会の公式サイトで確認するのが前提であり、申請期限は年度初めに集中するため、導入計画は前年度中に固めておきたい。

富士通デジタコの選定手順―現場の判断基準

富士通ブランドのデジタコを選ぶ際、カタログスペックだけでは実運用に合わない機種を選ぶリスクがあるため、現場で使える機種を見極めるには、次の手順で絞り込む必要がある。国土交通省「自動車運送事業者における機器の導入状況」(2023年)によれば、中小運送事業者のデジタコ導入において補助金・助成金の活用が初期投資の負担軽減に寄与しているとされるため、導入計画を立てる段階で補助制度の対象機種かを確認する手順も欠かせない。スペック表だけで決めると、あとで現場が困る。

ステップ1:自社の運行形態と記録義務を整理する

デジタコ選定の前提として、自社の運行形態(近距離・中距離・長距離)と法令上の記録義務を整理する。運行記録計の装着義務は車両区分・事業形態により異なるため、自社が装着義務の対象か、またその要件の詳細は貨物自動車運送事業法および関連告示で定められており、最新の適用範囲は国土交通省または所管運輸局に確認したい。ただし、2024年問題(改善基準告示の改正)以降、拘束時間・休息期間の記録精度が巡回指導で厳しく確認されるようになったため、義務外の車両でもデジタコ導入を進める事業者が増えている。

近距離配送(都市内・配送センター間)が主体なら、GPSと速度センサーで十分であり、高価な型式指定デジタコは過剰投資になる一方、長距離・中継輸送では運転時間・休息期間・中間点呼の記録を自動化できる型式指定デジタコが効率化に直結する。自社の運行パターンを「1運行あたりの平均走行距離」「1日の運行回数」「中間点呼の発生頻度」で数値化し、必要な記録項目を洗い出す。このひと手間で、候補機種はかなり絞られる。

ステップ2:製造元とサポート体制を販売店に開示させる

見積書を受け取ったら、次の項目を販売店に書面で回答させる。

  • デジタコ本体の製造元(富士通フロンテック/他社OEM)
  • 通信モジュールの供給元とLTE/5Gの対応バンド
  • クラウド基盤の運営主体(富士通クラウドテクノロジーズ/他社)
  • 故障時のサポート窓口(販売店コールセンター/メーカー直通)
  • 代替機の貸出可否と在庫拠点

販売店が「富士通製です」とだけ答えて詳細を明かさない場合、OEM品または中古再生品の可能性があり、特に価格が相場より2〜3割安い場合は、型落ち品や3G通信モジュール搭載機の在庫処分を疑うべきだ。値引き幅が大きい案件ほど、型番の確認は丁寧に進めておきたい。

ステップ3:デモ機で実車テストを行う

契約前にデモ機を借りて、自社の車両で実車テストを実施する。テスト期間は最低2週間で、できれば1ヶ月が望ましい。確認項目は次の通りだ。

  • 速度パルスの取得精度(GPS単独型は誤差が出やすい)
  • 通信圏外エリアでのデータ保持(山間部・トンネル)
  • 管理画面の操作性(運行管理者が1日に何度も開く前提で評価)
  • CSV出力の項目と形式(既存の配車システム・勤怠管理システムとの連携可否)
  • ドライバーの操作負担(出庫・帰庫時の記録操作が複雑だと定着しない)

テスト期間中に、実際の配車計画で使う運行データをCSVでダウンロードし、Excel・Googleスプレッドシートで開いてみる。項目名が日本語でも、データの並び順や時刻の表示形式(24時間表記/AM/PM表記)が既存システムと異なると、手動加工の工数が増える。特に給与計算ソフトと連携する際は、労働時間の集計ロジックが社内規定と合致するかを社労士に確認させる必要があり、画面の見やすさだけで採否を決めると導入後の運用負荷を見落としやすい。現場では、この段階で初めて細かなズレに気づくことも多い。

ステップ4:補助金・助成金の対象機種か確認する

デモ機で問題がなければ、導入予定の機種が補助金・助成金の対象に含まれるかを確認する。国土交通省の「安全・安心な輸送のための先進安全自動車(ASV)等導入支援事業」では、デジタコ・ドライブレコーダー・衝突被害軽減ブレーキの導入費用を一部支援する制度があるが、対象機種は型式指定品に限定される年度もある。

補助金の申請窓口は、国土交通省の地方運輸局または都道府県トラック協会であり、申請には機種の型式証明書・見積書・車検証のコピー・事業計画書が必要になるケースが多い。補助金額・補助率・対象条件は年度・制度で変動するため、最新の公募要領を所管省庁または都道府県トラック協会の公式サイトで確認するのが前提で、申請期限は年度初めに集中するため、導入計画は前年度中に固めておく。申請書類は後から慌てると揃いにくい。

ステップ5:契約前に保守契約の内容を詰める

デジタコの導入費用には、本体価格・取付工賃・通信費・クラウド利用料が含まれるが、保守契約の範囲は販売店ごとに異なる。次の項目を契約書に明記させる。

  • 保守対応時間(24時間365日/平日9〜17時のみ)
  • 故障時の一次対応者(販売店/メーカー/整備工場)
  • 代替機の貸出条件(無償/有償/在庫次第)
  • ファームウェア更新の実施方法(自動/手動/工場持ち込み)
  • 通信障害時の免責事項(キャリア障害・災害時の対応)

保有台数が30台以上の運送会社では、故障率を年間1〜2%と見込み、予備機を1〜2台確保しておく運用が現実的であり、販売店の保守契約に代替機貸出が含まれない場合は、予備機を買い取りで用意するか、リース契約に保守オプションを追加する選択肢がある。契約前の詰めが甘いと、運用開始後にコスト差として表れやすい。

富士通デジタコの運用で現場がつまずく3つの盲点

デジタコを導入した後、運用フェーズで想定外のトラブルが起きるケースがあり、富士通製デジタコに限らず、どのメーカーでも共通する盲点を3つ挙げることで、導入後のつまずきを事前に減らしやすくなる。導入時より、むしろ運用開始後のほうが差が出る。

盲点1:ドライバーの記録操作が定着しない

デジタコは、出庫時・帰庫時・休憩開始時・休憩終了時にドライバーが操作ボタンを押す前提の機種が多い。ところが、配送先で荷卸し作業に追われると操作を忘れ、運行記録に空白ができる。運行記録に空白が生じた場合の法的扱い・補完方法は機器の仕様・記録の性質により異なるため、記録不備が発生した際の対応手順は運輸局または専門家に相談したい。

現場で定着させるには、点呼時にデジタコの操作手順を復唱させるルールを作る必要があり、特に中途採用のドライバーは前職で紙の日報に慣れている場合が多く、ボタン操作を「やり忘れても後で書けばいい」と軽視する傾向がある。デジタコには記録の改ざん防止機能を持つ機種があり、後から修正できない仕様の場合、操作ミスは記録不備につながる可能性があるため、機種ごとの仕様と運用ルールは事前に確認が必要となっている。

盲点2:クラウドのデータ保存期間切れ

クラウド型テレマティクスでは、無料プランや低価格プランで保存期間が3ヶ月・6ヶ月に制限されるケースがある。国土交通省告示「貨物自動車運送事業輸送安全規則」では、運行記録計による記録は1年間の保存義務があるため、クラウド側の保存期間が1年未満の場合、自社でバックアップを取る運用が必要だ。

バックアップを取らずに保存期間を過ぎると、巡回指導で記録不備を指摘され、改善報告書の提出を求められるため、運行管理者が毎月末にCSVをダウンロードし、社内のファイルサーバーまたはNAS(ネットワークストレージ)に保存する手順をルール化したい。ダウンロード作業を忘れないよう、Googleカレンダー・Outlookの定期予定に登録しておく。単純な作業だが、抜けやすい。

盲点3:燃料費との突合ができない

デジタコが記録する走行距離と、給油伝票の走行距離にズレが生じるケースがある。原因は、GPS単独型のデジタコが通信圏外で走行距離を取得できなかった場合や、ドライバーが私用で車両を使った場合だ。燃料費を実車率で按分する運送会社では、走行距離のズレが原因で経費の配賦が狂い、月次決算で利益率が合わなくなる。

対処法として、給油時に必ず車両のメーターを撮影し、デジタコの記録と照合する運用を入れる。メーター写真は給油伝票とセットで経理に回し、デジタコの記録と10km以上ズレがあれば運行管理者に報告させる。ズレの原因が通信圏外なら機器の問題、私用なら就業規則違反として対応するという切り分けをあらかじめ決めておくと、現場判断がぶれにくく、責任の押し付け合いも起きにくい。

富士通デジタコと他社製品の比較―選定の判断基準

富士通ブランドのデジタコを選ぶ理由は、グループ企業の信頼性とサポート網にあるが、他社製品と比較して優位性があるかは運行形態次第であり、同じ「デジタコ」でも重視すべき点が型式指定・連携性・保守体制で異なるため、ここでは中小運送会社が比較対象にしやすい他社製デジタコとの違いを整理する。結局のところ、ブランドより運用条件の相性がものをいう。

矢崎エナジーシステム(DTG7シリーズ)との比較

矢崎エナジーシステムのDTG7シリーズは、型式指定デジタコの定番機種で、全国の整備工場・ディーラーで取り扱いがある。富士通フロンテック製デジタコと比較すると、矢崎製は給油所・整備工場との連携実績が多く、燃費管理・整備記録との一元化に強みがある。一方、富士通フロンテック製は富士通グループのクラウド基盤と連携しやすく、基幹システム(会計・人事)との統合を前提にする場合は選択肢になる。

ハードウェア本体・取付工賃・通信費・クラウド利用料は販売店の仕入れルート・地域・台数・契約条件で変動するため、相見積もりを取る際は同一型番・同一条件で比較し、最新の価格水準は複数の販売店またはメーカー窓口で確認しておきたい。比較条件がずれると、判断もぶれやすい。

トランストロン(e-Tacho)との比較

トランストロンのe-Tachoは、後付けOBD接続型のテレマティクス端末で、型式指定デジタコではないが、低価格・短納期で導入できる。車検証上の装着義務がない車両(車両総重量8トン未満)に対し、拘束時間管理とGPS追跡だけを目的にする場合はe-Tachoが選ばれる。富士通クラウドテクノロジーズのテレマティクスサービスも同様の構成だが、クラウド基盤の安定性と管理画面の操作性で差が出る。

初期費用・月額費用は販売店・導入台数・契約条件で変動するため、複数の販売店から見積もりを取り、自社の運行形態に適した機種を選ぶのが前提となる。OBD接続のため車種によってはデータ取得項目が限定される点に留意したく、特にいすゞ・日野・三菱ふそうの大型トラックでは、OBD規格が車両年式で異なり、2015年以前の車両では速度パルスが取得できないケースがある。

住友電工システムソリューション(MOCS)との比較

住友電工システムソリューションのMOCSは、配車計画・動態管理・デジタコを統合したクラウドサービスで、運行計画の最適化を重視する運送会社に導入例が多い。富士通クラウドテクノロジーズのテレマティクスサービスが運行記録の蓄積・分析に特化するのに対し、MOCSは配車シミュレーション・帰り便マッチング・傭車管理まで含むため、システム構成が複雑になる。

保有台数が50台以上の運送会社では、配車計画と運行記録を一元化するメリットが大きいが、10〜30台規模では過剰投資になりやすく、自社の業務フローが「配車はExcel・紙の配車表」で回っているなら、まずデジタコ単体で運行記録を自動化し、配車システムは別途検討する方が現実的だ。段階を分けたほうが失敗しにくい。

富士通デジタコの導入後に押さえる運用ルール

デジタコを導入しても、運用ルールが定まらないと記録不備・データ未活用が続くため、現場で回す運用ルールを5つに絞って定着させる必要がある。全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業―現状と課題―2024年版」では、運行記録のクラウド管理により点呼記録・拘束時間管理・給与計算の連携が進み、運行管理者の事務作業時間が削減される事例が報告されている。導入効果は、運用設計までやって初めて出る。

ルール1:点呼時にデジタコの記録確認を義務化

始業点呼・終業点呼の際、運行管理者がデジタコの記録を画面で確認し、記録漏れ・操作ミスがあればその場で指摘する。ドライバーが帰庫後に「ボタンを押し忘れました」と報告しても、記録は修正できないため、出庫前・帰庫時の操作を点呼項目に組み込む。点呼記録簿にデジタコの確認欄を追加し、運行管理者のサイン・押印を残す運用が望ましい。最初は手間でも、後で効いてくる。

ルール2:月次でCSVをダウンロード・バックアップ

クラウド型テレマティクスでは、毎月末にCSVをダウンロードし、社内のファイルサーバーまたはNASに保存する。ダウンロード作業は運行管理者の定例業務として、Googleカレンダー・Outlookの定期予定に登録する。保存先のフォルダ構成は「年度/月/車両番号」で階層化し、ファイル名に車両番号・年月を含める(例:「2026_06_横浜500あ1234.csv」)。

ルール3:燃料費との突合を週次で実施

給油伝票の走行距離とデジタコの記録を週次で突合し、10km以上ズレがあれば原因を調査する。突合作業は経理担当者ではなく運行管理者が行い、ズレの原因が通信圏外・GPS誤差なら記録に注釈を残す。私用での車両使用が疑われる場合は、ドライバーに運行日報と照合させ、業務外走行の有無を確認する。数字のズレを放置しないことが大切だ。

ルール4:ドライバーごとの拘束時間を月次で集計

改善基準告示では拘束時間・休息期間の上限が定められており、デジタコのクラウド管理画面でドライバーごとの月次拘束時間をグラフ化し、上限に近づくドライバーには翌月の運行計画を調整する運用が求められている。拘束時間の上限値・集計方法は事業形態・労使協定により異なる場合があるため、自社に適用される基準は社労士・行政書士への相談が前提になる一方で、現場ではまず自社の集計ロジックが給与規定と整合しているかを確認しておかないと、管理画面の数値をそのまま使えないこともある。拘束時間の集計ロジックが自社の給与規定と合致するかは、社労士に確認させる。最終判断は社労士・行政書士への相談が前提になる。

ルール5:故障・通信障害の対応手順を文書化

デジタコが故障した場合、代替機の手配・取付工場の予約・データのバックアップ復元を誰がどの順序で行うかを文書化する。特に長距離運行中に故障した場合、ドライバーが最寄りの整備工場に持ち込んでも、富士通製デジタコの在庫がなく修理できないケースがある。代替機の貸出条件・在庫拠点・配送リードタイムを契約書で確認し、故障時の連絡フローを運行管理者・整備担当者・ドライバーで共有する。連絡先一覧は紙でも残しておきたい。

富士通デジタコの選定で次にやるべきこと

富士通ブランドのデジタコを検討するなら、まず自社の運行形態と記録義務を整理し、型式指定デジタコが必要か後付けテレマティクスで足りるかを判断した上で、販売店に製造元・サポート体制・通信方式を書面で開示させ、デモ機で実車テストを行い、補助金・助成金の対象機種かを確認し、契約前に保守契約の内容を詰める流れが基本になる。順番を飛ばさないことが肝心だ。

導入後は、点呼時のデジタコ記録確認・月次のCSVバックアップ・燃料費との突合・拘束時間の月次集計・故障時の対応手順を運用ルール化する必要があり、デジタコは導入して終わりではなく、記録の正確性と継続性を維持する仕組みづくりまで含めて現場の実務を支える。機器の選定より、運用の継続のほうが難しい場面もある。

2026年6月時点の全国平均軽油価格は158.8円/L(前週比+0.3円、1週連続上昇)で、燃料費の変動が運賃交渉と配車計画に影響を及ぼす。デジタコで燃費データを蓄積すれば、燃料サーチャージの根拠資料として荷主との交渉材料になる。ただし、軽油価格は地域・給油所により異なるため、自社の給油実績と照らし合わせて試算する前提だ。ここは数字の使い方が問われる。

まずは、現在使っているデジタコの型番・通信方式・クラウドの運営主体を確認し、3G通信モジュールが残っていないかを点検する必要があり、3G通信はすでに終了しているため、該当機種があればLTE対応機への交換を急ぎたい。次に、富士通フロンテック・富士通クラウドテクノロジーズ・販売代理店の3者に見積もりを依頼し、製造元・サポート窓口・保守契約の範囲を比較する。さらに、デモ機で実車テストを行い、CSV出力の項目と形式を既存システムと照合し、補助金の対象機種かを国土交通省または都道府県トラック協会で確認して、申請期限に間に合うよう導入計画を前倒しする。