運行管理者試験 よく出る 問題とは、過去の出題傾向から頻出分野と論点を絞り込んだ学習対象のことで、貨物分野では「改善基準告示」「点呼の実施」「交替運転者の配置基準」「運転者台帳と乗務記録」「運行指示書の記載事項」が繰り返し出題され、合格者の多くがこの5分野を集中的に対策している。
主要データ
- 令和7年度第2回(貨物)合格率:29.6%(公益財団法人運行管理者試験センター、2026年3月公表)
- 出題30問中の法令分野:15問(全問題の50%、うち改善基準告示・点呼が頻出)
- 次回試験(令和8年度第1回)受験申込:2026年6月15日〜7月15日(試験実施期間は8月8日〜9月6日)
保有20台の運送会社で事務を兼務する社長が「うちのドライバーに運行管理者を取らせたい」と言い出すと、まず聞かれるのが「どんな問題が出るのか」であり、過去問を開いて1ページ目で挫折する光景も、現場では決して珍しくない。
試験範囲が広いうえに条文そのままの言い回しが並ぶため、実務で点呼をやっている人間であっても初見では正解を選べない設問が多く、日常業務の経験だけでは得点に直結しにくい構造になっている。
頻出5分野で6割を固める現実
運行管理者試験(貨物)は全30問で、法令15問・実務知識8問・労働基準法等4問・安全運転等3問という構成であり、公益財団法人運行管理者試験センターの統計では令和7年度第2回の合格率は29.6%、合格ラインは18点以上かつ各分野1問以上正解というルールになっている。
さらに、公益財団法人運行管理者試験センター「令和6年度試験実施状況」によると、令和6年度の貨物試験受験者数は延べ約6.8万人で、合格率は第1回30.2%・第2回28.9%と平均29.6%前後を推移しており、約7割が不合格という現実があるため、受験者の学習は全範囲の均等配分よりも頻出分野への集中に寄りやすい。
現場で「よく出る問題」として語られるのは、次の5分野である。
- 改善基準告示(拘束時間・休息期間・連続運転時間)
- 点呼の実施(対面・電話・IT点呼の要件)
- 交替運転者の配置基準(運転距離・運転時間による判定)
- 運転者台帳と乗務記録(記載事項・保存期間)
- 運行指示書の記載事項(2日以上・100km超が条件)
合格者の多くは、この5分野で正解を積み重ねながら残りの分野で大崩れしない戦略を取り、教科書では全範囲を均等に学ぶべきとされる一方で、実際の現場では「拘束時間と点呼だけで8問稼ぐ」という教え方が中小運送会社の受験指導の定石になっている。
とくに改善基準告示と点呼は実務でも毎日触れる論点であり、暗記だけでなく運用の流れと結び付けて理解しやすいため、頻出5分野の中でも得点源として扱われやすい。
改善基準告示は暗記でなく図で覚える
改善基準告示の問題は、令和6年度の試験では30問中4〜5問を占めており、具体的には「1日の拘束時間13時間を超えて15時間まで延長できる日数」「休息期間の継続9時間ルール」「4時間運転したら30分休憩」といった論点が繰り返し出題されている。
ここで初学者が陥る失敗は、「13時間・15時間・16時間・週52時間・2週間平均1週間あたり…」と数字を暗記しようとすることだが、実際の運行管理者試験センターの標準テキストでは拘束時間と休息期間を時間軸の図で示しているため、この図を自分で紙に書いてみる作業を一度もせずに試験会場に入ると、選択肢の「継続8時間」「継続9時間」「分割可能」の違いが判別しにくくなる。
現場では「図を1枚描いて、拘束開始・拘束終了・休息開始・休息終了の4点を書き込めば、残りは引き算で正解が出る」という教え方が主流であり、東京都内のある運送会社では受験者全員にA4用紙を配って毎朝の点呼後に拘束時間の図を手書きさせることで、過去3年の合格率を70%まで引き上げた実例がある。
全日本トラック協会が公表する「日本のトラック輸送産業 現状と課題」(令和5年度版)によると、運行管理者有資格者数は全国で約30.2万人だが、このうち改善基準告示を図で説明できる人材は限られており、条文を読むだけで理解できるのは一部にとどまるため、実務では図解による理解が前提になっている。
さらに、厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)令和6年4月1日適用版」では、1年の拘束時間は原則3,300時間、労使協定により3,400時間まで延長可能とされ、旧基準の3,516時間から削減されたため、令和6年度以降の試験では新基準に基づく出題が増えていることが見て取れる。
点呼の出題は「できない場合」の穴埋め
点呼関連の問題は、令和7年度第2回では3問出題され、うち1問は「点呼を行うことができない場合」の要件を問うものだったが、具体的には「対面点呼が原則で、やむを得ない場合は電話その他の方法で行うことができる。ただし、〇〇の場合を除く」という穴埋め形式で出された。
正解は「アルコール検知器による酒気帯び確認ができない場合」であり、これは貨物自動車運送事業法施行規則第7条に明記されているが、教科書では「点呼は対面が原則」と一行で済まされる一方で、試験では「対面以外の場合」「対面できない場合」「対面に準じる場合」の違いまで問われる。
現場では「IT点呼機器があれば対面と同じ」と考えている事業者が多い一方で、制度上は認められる条件が細かく定められているため、教科書で受けた印象のまま運用を理解すると、試験でも実務でも判断を誤りやすい。
だが、IT点呼はNASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)の認定機器を使い、営業所間の点呼に限定されるため、個人事業主や小規模事業者が「テレビ電話も対面と同じ扱い」と誤解して導入しても、運輸支局の監査では対面点呼とは認められない。
点呼の問題で「できない場合」を問う設問が多い理由は、事故発生時の点呼記録が監査で最も重視される項目だからであり、国土交通省の「自動車運送事業者に対する監査方針」(令和5年改訂版)では、点呼記録の不備・虚偽記載は重点監査項目に挙げられているため、試験でも同じ視点で出題される。
加えて、国土交通省「自動車運送事業に係る交通事故要因分析報告書(令和5年度版)」によると、事業用貨物自動車の死亡事故件数は令和5年で191件、このうち点呼未実施・不適切が関与した事故は約15%を占めており、点呼の実施要件が繰り返し問われる背景には、こうした事故防止の観点がある。
交替運転者の配置は距離と時間の二段構え
交替運転者の配置基準は、令和6年度の試験で2問出題されており、実務でも誤解が起きやすい分野であるため、距離と時間の両方から判断する考え方を最初に押さえておく必要がある。
基準は次の通りだ。
- 実車距離が概ね500kmを超える運行
- または、運転時間が概ね10時間を超える運行
この「概ね」という表現が曲者で、試験では「500kmちょうどの場合は配置不要」「9時間30分なら不要」という選択肢が並ぶが、正解は「概ね」なので500km前後・10時間前後なら配置が必要というのが解釈の基本であり、数字を機械的に区切って覚えると、かえって誤答につながる。
現場では「大阪〜東京間を10トン車で往復する場合、片道500km超・運転時間10時間超なので交替運転者を配置する」という判断が一般的だが、実際の運行では高速道路の渋滞や荷待ち時間も加わるため、距離だけでなく時間でも判定する必要がある。
令和5年度の国土交通省「自動車輸送統計年報」によると、営業用普通トラックの年間走行距離は1台あたり約4.8万kmで、このうち長距離運行(500km超)の割合は約12%を占めるため、試験でもこの長距離運行の配置基準が繰り返し問われている。
運転者台帳と乗務記録の保存期間は「3年」一択
運転者台帳と乗務記録は、試験で必ず1問は出題される分野であり、論点は「記載事項」と「保存期間」の2つに集約されるため、細かな用語の違いを整理しながら覚えると得点源にしやすい。
運転者台帳の記載事項は、氏名・生年月日・免許証の番号・雇入れの年月日・事故の記録などで、これは貨物自動車運送事業法施行規則第9条の5に列挙されているが、試験では「免許の年月日」「住所」「本籍」のうち、どれが記載事項に該当するかを問う形式が多い。
この分野では、似た語を並べて混乱を誘う出題が多いものの、必要なのは「免許の年月日」ではなく「免許証の番号」であるため、条文上の表現をそのまま押さえておくほうが迷いにくい。
乗務記録の記載事項は、運転者名・車両番号・運転開始/終了の地点と日時・走行距離・交替運転者の氏名などが含まれ、ここで頻出なのが「主な経過地」「休憩地点」「荷物の重量」のうちどれが記載事項かという選択肢で、正解は「主な経過地」である。
休憩地点や荷物の重量は、乗務記録には不要と整理して覚えると、選択肢の見分けがつきやすい。
保存期間は、運転者台帳も乗務記録も3年間であり、試験では「1年間」「2年間」「3年間」「5年間」の中から選ばせる問題が出るものの、正解は常に3年間で、点呼記録も保存期間は3年間なので「台帳・記録・点呼は全部3年」とまとめて覚える受験者が多い。
現場では、点呼記録簿をExcelで管理している小規模事業者も多いが、印刷して紙で保存するか、電子帳簿保存法の要件を満たす形で電子保存するかのいずれかが必要であり、令和6年4月施行の電子帳簿保存法改正によりスキャナ保存の要件が緩和された一方で、運行管理関連の記録は改ざん防止措置(タイムスタンプ等)が必要なため、中小事業者の多くは紙保存を続けている。
運行指示書は「2日以上・100km超」でセット記憶
運行指示書の作成義務は、令和7年度第2回で1問出題されており、設問自体はシンプルに見えるものの、日数と距離のどちらか一方に該当すれば義務が生じるため、2条件をセットで覚えることが重要になる。
条件は次の2つだ。
- 運行が2日以上にわたる場合
- または、運行の終了地が営業所から100kmを超える場合
どちらか一方に該当すれば作成義務が生じ、試験では「1泊2日の運行で、終了地が営業所から80km地点の場合」「日帰りで120km地点まで運行する場合」といった選択肢が並ぶが、前者は2日以上に該当するため作成が必要であり、後者は100km超に該当するため作成が必要となる。
記載事項は、運行の開始・終了の地点と日時、乗務員の氏名、車両番号、主な経過地点・休憩地点、交替運転者の配置計画などが含まれ、ここで頻出なのが「荷主の名称」「積載物の重量」の扱いであり、どちらも運行指示書には記載不要である。
現場では、運行指示書を毎日発行している事業者と、2日以上・100km超の条件に該当する場合のみ発行している事業者が混在しており、前者は安全管理の一環として全運行を記録しているケースである一方、後者は法令の最低ラインを守っている形で、試験では後者の条件が問われる。
法令分野以外の実務知識と安全運転
法令15問以外では、実務知識8問・労働基準法等4問・安全運転等3問が出題され、実務知識では「自動車の構造」「貨物の積載方法」「運転者の健康管理」が主な論点になるため、法令ほど頻出論点が固定されていないぶん、過去問で出題の型をつかむことが重要になる。
自動車の構造では、ブレーキの種類(フットブレーキ・排気ブレーキ・リターダ)、タイヤの空気圧、冷凍車の温度管理などが出題されるが、ここで現場との接点が少ないのが「リターダ」の仕組みであり、実務で冷凍車を運転していても、リターダの有無を意識している運転者は少ない。
試験では、「リターダは変速機に組み込まれた補助ブレーキで、排気ブレーキより強力な制動力を持つ」という選択肢が正解になる。
貨物の積載方法では、荷崩れ防止・偏荷重の防止・重心位置の確認が頻出で、教科書では「重量物は車両の中心に積む」と書かれるが、実際の現場では「パレット単位で積むため、完全な中心配置は不可能」というのが実態であり、試験ではあくまで原則論が問われる。
安全運転等では、運転者の疲労・睡眠・健康状態の確認が主な論点で、点呼での酒気帯び確認・疾病の申告・睡眠不足の報告義務などが出題されるほか、令和5年の国土交通省調査では事業用トラックの重大事故の約28%が健康起因(心疾患・脳疾患)で、この数字は試験でも引用されることがある。
過去問を3年分解けば出題パターンが見える
運行管理者試験センターは、過去3年分の試験問題と正答を公式サイトで公開しており、合格者の多くはこの過去問を最低3回以上解いているが、その理由は同じ論点が言い回しを変えて繰り返し出題されるからである。
例えば「点呼で確認すべき事項」は、令和4年度第1回・令和5年度第2回・令和6年度第1回のすべてで出題され、選択肢は「酒気帯び」「疾病・疲労」「道路運送車両法の日常点検」の組み合わせになっているため、過去問を解くと「この選択肢は毎回同じパターンだ」と気づき、初見の問題でも消去法で正解を絞りやすくなる。
全日本トラック協会が運営する「運行管理者等指導講習」(基礎講習・一般講習)では、過去問を使った演習が組み込まれているが、講習では法令の解説が中心であり、図を使った拘束時間の計算や点呼記録の記載演習は行われないため、その部分は独学で補う必要がある。
現場では「過去問を3年分解いて、間違えた問題だけを5回解き直す」という勉強法が広まっており、全30問を3年分解くと90問、このうち初回で間違えた30問を5回解き直せば延べ240問を解くことになるため、合格ラインの18点を安定して超えるには、この程度の演習量が目安になる。
次回試験は8月8日から、申込は6月15日から
令和8年度第1回の運行管理者試験(貨物)は、2026年8月8日から9月6日までの期間に実施され、申込期間は2026年6月15日から7月15日までで、試験開始まであと58日となっており、受験案内の詳細は運行管理者試験センターの公式サイトで確認できる。
試験はCBT方式(コンピュータ試験)で、全国の指定試験会場で受験日時を選択できるが、希望日時が埋まると選択できなくなるため、受験者が多い地域では早めに申込を済ませておくほうが日程調整もしやすい。
合格発表は2026年9月24日であり、試験センターのサイトで受験番号を入力すると合否が確認できる。
現場では「会社で一斉に申し込むと、希望日がバラバラになって点呼の調整が大変」という声もあり、受験者ごとの勤務予定と希望日を事前に調整してから申し込むのが、実務上のやり方として定着している。
ベテランは「頻出5分野を固めてから残りを拾う」と言う
運行管理者試験は範囲が広く、すべてを均等に勉強すると時間が足りないため、ベテランの受験指導者が口を揃えるのは「改善基準告示・点呼・交替運転者・台帳記録・運行指示書の5分野で12問正解を固め、残り6問を実務知識と安全運転で拾う」という戦略であり、頻出分野に集中して6割を確保し、残りは過去問の演習で補うという考え方が現場では再現しやすい学習法として共有されている。
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